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ST068 能の舞

¥300,000価格
  • Small Treasure

    Painting size 16cm x 23cm

    Framing size 26cm x 32cm

     

    石川県立美術館、国立工芸館、歴史博物館と文化施設が立ち並ぶ本多の森周辺に、県立能楽堂がある。県立と言うのは、全国でも初めてなのだそうだ。加賀藩から続く伝統芸能「加賀宝生(かがほうしょう)」の拠点地となっていて、小学生の時に、クラス全員で観た記憶がある。今でも、教育の一環として、能鑑賞が行われていると思う。

     

    何年か前に、「観能の夕べ」と言う夏休みの期間中、毎週土曜日に開催されるイベントに通った事がある。狂言1本と能1本が、千円程度で楽しめる。蝉の鳴き声が、ミーンミーンと暑さの中を突き抜ける夏の夕べ、涼しい室内で鑑賞する伝統芸能。僕は舞台の斜め横の席で、開演前の能舞台を眺めていた。

     

    狂言は、おかしみをテーマにしているので、言葉が現代語でなくても、大体分かるのである。それが能となると、「何とか候」の連続で、何が候なのか、全く分からない。外国人の観客もちらほら見受けられたのだが、日本人である僕も、外国の人と同じ状況を共有している。後は、想像するしかないのである。でも、これは、能の観賞法として、一番正しいのかもしれない。

    能舞台には、最小限の飾りしか置かれていない。能役者の動きと声色で観る人の頭の中に風景と物語を膨らませて行くのが、能の本質ではないかと思われるからだ。

     

    能の物語では、あの世に行った人が、この世に戻って来て、怨念深く、未練がましく、また張り裂ける心で何かを言う。そのこの世に戻って来た顔には、能面が付けられているのである。最後には、心を晴らして、あの世に帰って行くのだが、僕は、能面を付けて能舞台の上を舞う女性の本当の顔を見てみたいと思った。

     

    そして僕は、この絵を描いた。

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